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8月のクリスマス

DC版PSO、ダウンロードクエスト「夕焼けの秘密基地」より
後編



あねさんと呼ばれるラッピーを救出するため、
ラッピー達が暮らす、秘密基地に私は踏み入った。
ラグオルにこんな場所があったことに、
正直驚かずにはいられない。

彼らと話しているうち、私は彼らにいつしか
親近感のようなものを抱きはじめていた。
ここにいるラッピーは皆、我々のように、
笑い、悲しみ、怒り、考えて生きている。
私の知っているラッピーというエネミーの姿とは、
それはかけ離れたものだった。
夢でも見ているのかとも思った。


「空を飛びたいと思ったことないピか?」
空を飛ぶ日が来たというラッピー。
機械によって空を飛ぼうとしているらしい。
しかし、それは失敗に終わる。

だが彼らは言う。
「あきらめなければ、いつかうまくいくピ」
そうかもしれない。
失敗したくなければ、それを行わないことだ。
だが失敗を恐れていては、きっと進めないのだろう。

ここには、本当に様々なラッピーがいる。
噂話に夢中のラッピー。
不思議な装置に手一杯になる、忙しいラッピー。
場所を取り合い、争うラッピー。
自慢げに羽毛を見せびらかすラッピー。
私が倒してきたラッピーも、彼らのように
豊かな感情を持っていたのだろうか…。

私は2匹のラッピーに出会った。
ラピオスのことで悩む、ラピメス。

ラピメスのことが大好きなラピオス。

話してみると、彼らは好意を抱きながらも、
互いの気持ちを確かめられないようだ。
2匹のまっすぐな気持ちに、微笑ましい気持ちになりながら、
私は軽い感動と衝撃を感じた。
昔の自分を少し思い出した。
彼らに幸せが訪れることを切に願う。


出会ってそれほど経っていないながらも、
私はラッピー達と昔からの友人であるかの
ように接しはじめていた。
私は彼らに愛情に近い念を抱きはじめていた。
だが、依頼が終わればここから去らなければならない。


あねさんは高台にいるらしい。
彼女を皆心配している。
彼女は、フェンスにはまってしまい
このままだと危ないという。


高台に上ると、ラッピー達が慌てている。
どうやら、あねさんはフェンスから出られないの
ではなく、出てこないというのが真相らしい。

あねさんに近づいてみる。
彼女の衰弱は見てとれたが、その表情はどこか
安らかさを感じさせる。
話しかけてみる。
しかし、反応がない。

私の肩に止まっていた蝶が羽ばたいた。
道中で喉の渇いたラッピーに水を渡し、
そのお礼として受け取ったものだ。

「あら」
あねさんは蝶に気づいたようだ。
彼女はそこでやっと周囲の状況にやっと気づき、
フェンスから出てくる。
「夕焼けをみてたら、ボーっとしてしまったわ。」
だそうだ。

彼女はつらい事があって、夕焼けを見ていたら、
何もかも忘れたくなり、見入ってしまったのだそうだ。
やれやれ…。
だがわからなくもない。

ラグオルの夕焼けは美しい。
とりわけ、ここから見る黄昏は…。

謝罪と感謝の言葉のあと、彼女は言う。
「ここにはうちの仲間がいて、
みんながいて、いろいろいて、
何回かんがえても


彼女は振り向く。
そして

「ワニノコさん

と言った。


依頼が終了した。
何か楽しい夢でも見ていたかのようだ。
そして、その終わりはどこか物悲しい。
ギルドカウンターに依頼終了を告げた。
私宛に、メールが届いているそうだ。
「マタキテネ ラピール」
不覚にも涙が出た。

いつになるかは分からない。
だが私は再び彼ら友人と会うだろう。
会いたいと思う。
私と彼らは約束を交わしたわけではない。
だが、その出会いが必然ならばきっと…。
彼らが私を待っていてくれるという保証は無い。
きっと会えると信じ、生きていこう。
あの景色を忘れない限り、私たちはまた会うことが出来る。



※前回、今回のお話は、DC版PSOのクエスト
「夕焼けの秘密基地」を元に基本的には忠実に、
若干のアレンジを加えたものです。


(C) SEGA / SONICTEAM, 2000, 2001.

このページで使用されている画像は(株)ソニックチームの許諾を
得て、ドリームキャスト用ゲーム「ファンタシースターオンライン」
よりキャプチャーしたものです。配布や再掲載は禁止されています。

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コメント

以前BBでも配信されたっていう話も聞いたような覚えがあるんですけど…(うろ覚え)
どちらにしても細かいところは変更されてるでしょうしねぇ(ちゃんとラピオス、ラピメスのイベントあるのかな…?)

お世話になった皆さんにまた会えると良いなぁ…

><\

投稿: 遊・命 | 2006年8月11日 (金) 00時11分

>遊・命さん

そうですね。
このクエ好きです。
久々に遊んで、結構涙腺に来ちゃったよ。
景品がいいってのもあるけどね。
今やDCでしか遊べないクエみたいなんで、貴重かもね。
いいクエだから、GC以降の人にも遊んで欲しいんだけどね。

投稿: ぴよこ | 2006年8月 6日 (日) 05時23分

このクエストは私がPSOを初めてある程度の期間が過ぎて普通の人なら既に“中級者(以上?)”の域に達しようとしていた頃にプレイしていたはずですが…
色々な意味で特殊で通常の冒険ではあり得ないことだらけで
クエストレアを貰うなどの直接的な目当てもあったでしょうけれど
凄く面白いクエストでしたよね(クエスト中一切戦闘がないのも或る意味良かったですね)

そして改めてこの話“深い”かもですね

ぴよこさんが抱くシチュエーション重なってちょっと儚げだけれど
未来への希望の大切さを感じずにはいられませんね

いつかみたあの景色をまた共に肩を並べて…
観られる日が来ることを願っていましょう

投稿: 遊・命 | 2006年8月 4日 (金) 21時47分

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