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2007年5月

Minerva

今回は最近読んだ漫画の話でも。

まず、大東京トイボックス(うめ/幻冬舎コミックス)
以前紹介した作品の続編です。
前作と雑誌が変わってますが、熱い内容はそのままです!
このお話は、ゲーム制作会社のクリエーターが主人公の漫画。
いわゆるクリエイターとしての情熱や葛藤がリアルに描かれています。
ゲーム好きでなくとも、生業について考えたことある人なら、
良くも悪くも感じる部分があるはず。
ゲーム好きで、かつ最近のゲームは物足りないと思ってる方も、
前作とあわせて読んでみると、より楽しいと思います。
その辺は前回のレビューもよければ参照してください。
今作では、前作のその後のお話で、企画見習で関西出身の女の子
「百田モモ」が加入し、物語が展開していきます。
このキャラの喜怒哀楽が、表現を志す人や、夢を持っている人には
引っかかるものがあるかもしれません。
ゲームが好き、熱い漫画が好き、何かを表現したい、仕事について
思うところがある、などが当てはまる人は楽しめると思います。


もう一つ、邪眼は月輪に飛ぶ(藤田和日郎/小学館)を紹介します。
うしおととら、からくりサーカスの作者として有名な藤田氏の
新作短編です。
これが、上記のファンの期待を裏切らない出来でした。
怪しい世界観で熱い漫画を描く、藤田節は健在でうれしくなりましたね。
この話は、その視線に捕らえられたものは全て死ぬというフクロウ
「ミネルヴァ」に立ち向かう、猟師・鵜平、その娘で祈祷師の力を持つ
輪を中心に展開される。
米軍よりミネルヴァ討伐を要請されたケヴィン、マイクを加えた4人が
東京を舞う死をもたらすフクロウと対峙する。
とにかく、この作者の作品は台詞の一つ一つ、表情一つとっても
本当に力がある。
この話にしろ、恐ろしいフクロウの圧倒的な存在感もさることながら、
その存在の悲しさも描ききっている。
登場人物にしても、本当に漫画の中で生を持っているかのような
魅力がある。
今時では、勧善懲悪な物語や、完璧な主人公はあまり見かけない。
この作品も例に漏れないが、その説得力は別格で、例えば善悪の意味の無さ、
完璧でないことの正しさ、そういう人間的な部分に力を感じてしまう。
リアルというよりは、漫画的な演出が多く、見方によっては、
わざとらしさを感じてしまう展開もあるかもしれないが、
それでも読ませてしまう力はさすがというべき。
語弊を恐れずいうのなら、正しい少年漫画の一つの完成形だと思っている。
(本作品は青年誌での連載だが)
この作品、藤田作品に初めて触れる人にもオススメできる。
完璧な登場人物はいない、しかし作品としては完璧な内容。

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