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彼女と星の椅子

週刊少年ジャンプで連載がはじまった「バクマン。」を読みました。
「DEATH NOTE」の大場つぐみ・小畑健のコンビの最新作です。

連載第一回を読んでの感想ですが、すごく楽しめました。
すごく簡単に言ってしまうと、この作品はマンガ家を目指す二人の少年の物語です。
おそらくそこに今後、声優を目指す少女が絡んでくると思われます。
こう書いてしまうと、すごく凡庸な内容に思えるかもしれません。
しかし、そこはさすが名コンビということで、物語、画力共に説得力を持って魅せてくれます。
続きがかなり気になる新連載ですね。

追記で少し感想書いてみます。(注:ネタバレあり)




主人公の真城最高(もりたか)は、非凡な絵の才能を持ちつつも、平凡な将来を願う中学3年の少年です。
成績優秀な同級生の高木に、二人でマンガ家を目指そうという取引を持ちかけられることから物語は動き出します。

冒頭の最高は、基本的に現実にも、今のマンガにもありふれていそうな、平凡であろうとすることで、未来の可能性に目を背けようというキャラとして描かれています。
同時に、それでいいのかという葛藤、この時期特有の焦りに似た感情も持ち合わせています。
少年時代マンガ家になるのが夢だった彼にとって、マンガ家でヒーローだったおじさんの死の影響が大きく、その道から自ら目を背けてしまったようです。

自分に照らし合わせて考えてみると、よく分かる部分はあります。
自分の場合は、子供の頃から将来が平凡である可能性に恐怖を感じていました。
ただ、同時にある時期から伸び悩み、諦めに似た感情を抱くこととなります。
自分のその感情が強くなってきた時期は、この物語と同じくらいの大体中学後半でしょう。
平凡でありたくないと願い、しかし同時に自分の空虚さ、無力さに恐怖を感じることとになります。
周りには、このマンガの最高と同じように、将来の話になるとリアリストを気取り、平凡な生活がどれだけ難しいかなど、うそぶいたりもしていました。
最高もまた心では裏腹に平凡を恐れていながら、平凡を願う人間を装うことで心の平安を得ていたのかもしれないと考えてしまいます。
ただ、この物語の最高は、自分みたいに後ろ向きではないので、読者は感情移入はしやすいかもしれません。

高木の「早く始めた方が得なんだって 
皆決められず ずるずる生きちゃってるんだって」
という台詞が心に刺さります。
自分は彼らの年齢の時に何をしていたか。
将来について、真剣に考えていなかったと思います。
全く考えていないわけではありませんでしたが、具体的に何かと考えていなかったと思います。
その頃は、勉強が出来ればどこか道に続いていると漠然と思っていたのかもしれません。
親が教育に厳しいということもありましたが、自分もそれが正しいと思ってやっていた部分はありました。
望む望まざるに関わらず、そうする以外の選択は当時の自分の中にはありませんでした。
今は、あの頃の自分は何をやっていたんだという気持ちです。
あの頃に限らず、一年前、一ヶ月前に関しても同じ感情を抱き続けています。
早く行動を起こさなければきっと後悔する。
それは知っていたつもりです。
しかし、どこか甘えていた。
そして無知だった。

子供の頃は楽しかったと思います。
中学の後半辺りから、徐々に楽しくなくなってきていました。
高校に入ればきっと楽しくなる。
大学に入れば、就職すれば…。
そう思っていました。
しかし、楽しいどころか苦しくなるばかりなんです。
後悔も雪だるま式に増えていきました。
昔はよく笑う子供でした。
当時の知り合いは、会うと声をそろえて随分雰囲気変わったねと言います。

主人公のおじさんには好きな女性がいました。
しかし、おじさんは自分は彼女に不相応だと考えます。
彼女に認められたいと思ったおじさんは、マンガ家を目指します。
しかし、彼女と自分との差が埋まらないとおじさんは告白できません。
おじさんのマンガがアニメ化した時、彼女は既に結婚していました。

主人公の最高もですが、おじさんにも強く感情移入してしまいました。
おじさんは、自分が不相応だということを言い訳に告白を先延ばしにしたのではというような気もします。
ただ、私も自信が無い人間なんでよくわかるんですよ。
口実って部分は確かにあると思うんです。
でも、自信が持てなくて気後れしてしまう部分もあるんですよね。
自分の場合は、相手に対して不相応どころか、嫌われているとすら思ってしまうので、性質が悪いですね。
しかし、どう言い訳しても、出遅れた先に待っているのは、「時既に遅し」なんですよ。
そこで人生が終ってしまうわけじゃないですし、たらればを言っても仕方ないですけど、あの時ああしてればって後悔することになるわけです。
でも自分は幾度と無く、それを繰り返してきました。

最高は、高木とともに、声優を目指す少女、亜豆(あずき)の元に自分達は漫画家になると告白をしに行きます。
最高は想いを寄せる亜豆に自分達のマンガがアニメになり、亜豆がそのアニメに出る夢が叶ったら結婚して欲しいと告白をします。
そして、最高は高木とともに漫画家を目指すことになります。

いいですね。
この展開は素直に好きです。
平凡を願う最高よりも、この最高の方が好感が持てます。
この告白によって、最高は決意を固めます。
こういう話を見るたびに、本当に悔しいんですよね。
自分には何故こういうきっかけが無かったのかって。
将来的なことでも、対人についてもですね。
積極性が無い方ですし、チャンスが無いことを責めるのはあまりに他力本願な気もしないでもないですが。
自分も、こういう風に好きな人が夢を追ってる姿や、手を取ってくれる友達がいたら、今は違っていたのかなとも思います。
でも、これは物語上のことですし、第一待っていたんじゃダメだったんですね。
知ってはいました。
でも、後になって気づくんですよね。
自分は何もしていなかったって。

今、思うのは、諦めようとすることより諦めまいとする自分が怖いんです。
したいことがあり、それを目指しています。
しかし、叶うかわかりません。
例えばそれを諦めて、収入のためと割り切れば、自分の悩みは軽減される気もします。
諦めずどこまで行くのか、行けば行くほど同世代の社会人に置いていかれる。
諦めて収入のためと割り切った時には遅いかもしれない。
しかし、諦めることの恐怖より、諦められない自分への恐怖がやはり強いです。
恐らく、こんなはずじゃないって気持ちが今後もつきまとい、一生消えないんじゃないかという気がします。
散々打ちのめされたはずなのに、何故自分にそれほどまでに非凡さを求めるのか、自信が無いはずなのに、何故まだ可能性が薄いと認められないのか、もしくは、単に現実に向き合う勇気がないのか。
分かりません。
どれも正解じゃないかもしれないし、全部当てはまるのかもしれません。

そんなことを、このマンガを読んで考えたりしました。


ぴよこの本棚

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コメント

>BlogPetのアギラ

Xジャンプならよく。

投稿: ぴよこ | 2008年8月13日 (水) 19時00分

ジャンプするの?

投稿: BlogPetのアギラ | 2008年8月13日 (水) 14時16分

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