« 扉の向こうに | トップページ | Game Is On »

Horrorscope

夏も終わりですね。
この夏、結構怪談などを読んだ気がするんで、軽く総括してみようかと思います。



=====怪談・ホラー系=====


怪談実話系 書き下ろし怪談文芸競作集
/安曇潤平,岩井志麻子,加門七海,木原浩勝,京極夏彦,小池壮彦,立原透耶,中山市朗,平山夢明,福澤徹三(メディアファクトリー)

豪華作家陣の参加した怪談アンソロジーですね。
一部の人のものを除いて、いい作品が多かったですよ。
角川ホラー文庫でもよくこういうの出しますけど、作家の豪華さと怪談に特化したという意味では、こちらのアンソロに軍配が上がるかと。



てのひら怪談 百怪繚乱篇―ビーケーワン怪談大賞傑作選(ポプラ社)

今話題になっている投稿型の創作怪談集です。
様々な作風のものが読めるのがいい点ともいえますが、短い作品が沢山載っていて、作者によって文体が違うので、若干読み進めづらいです。
品質がまちまちなのもちょっと。
面白い話もありましたが、世間の評価とは逆に、私はそれほど楽しめませんでした。



隣之怪 蔵の中
/木原浩勝(メディアファクトリー)

新耳袋の作者の一人、木原氏による新作怪談です。
これがシリーズの第二弾ですね。
新耳袋は大好きだったんですが、これはちょっと不完全燃焼な印象を受けました。
文の組み立て方がまずくて怖さが半減してるかな、ってのと話自体あまり感じるものがなかった気がします。



九十九怪談 第一夜
/木原 浩勝(角川グループパブリッシング)

上記同様、木原氏による怪談です。
こちらは、より新耳袋を意識したつくりに感じました。
そのせいか、上記作品と比べ、非常に面白く読みました。
99(+1話)の怪談が掲載されていて、一晩で読むと自分の中で百物語が完成するというのも、新耳袋を踏襲してますね。
一夜完読すると怪が訪れるといわれるこのシリーズですが、自分にはまだ訪れてないですね。
今回の場合、読み終わったあと、夕食時に弟を呼びに行ったら横たわってて、「もしや、死んでる!?」とびびったものですが、単に寝ていただけでした。



恐怖箱 蛇苺
/つくね 乱蔵,深澤 夜,原田 空(竹書房)

一般参加の実話怪談グランプリである超-1からデビューした3人による怪談です。
クオリティは高いと思うんですが、超怖い話シリーズの影響が強く、目当たらしい部分があまり感じられなかったです。
印象にあまり残っているものは無かった気がします。
この傾向が必ずしも悪いとは思わないですけど、最近竹書房は、超怖い話での成功に味をしめたのか、怪談を出しすぎのような気がする。
自分はほぼ読んでいて、それほど酷いと思うのも無いんですが、小さくまとまっちゃってるなあっていう感じはします。



「超」怖い話M(ミュー)
/平山 夢明(竹書房)

長年、超怖い話のメインライターだった平山氏のこのシリーズ最終作です。
共著者は上記のものは別の超-1デビュー作家。
平山氏といえば、グロい表現が一つの売りだったりするんですけど、数多く読むとそれだけじゃないんですよね。
最近、やや増えてきたような気がする、不条理な話とか、ちょっと不思議な話も好きだったりします。
共著者の二人は、平山氏におそらく影響を受けていると思いますが、まだその域には達していないかなと思ってます。



怖い本 8
/平山 夢明(角川春樹事務所)

上記、平山氏の別シリーズです。
こちらは続いていくみたいなんで、なにより。
平山氏の作品といえば、罰当たりな人とか、馬鹿で有名な奴って表現の人がよく出てきて、酷い目にあったりするんですよね。
おっ、今回も馬鹿で有名なキャラが出てきたって密かに楽しみにしてます。
ただ、作者本人も結構罰当たりな行為をしていて、一時体調やばかったらしいんですが、今は大丈夫なんでしょうか。



夜市
/恒川 光太郎(角川グループパブリッシング)

ホラー大賞を受賞した小説ですね。
ホラーというと、リングとかそういうのを思い浮かべる人も多いと思います。
でもこの作品の特徴はは、不思議な異世界の住人が出てきたり、日本の情緒を感じられる雰囲気づくりだったり、おとぎ話的な怖さというんでしょうか。
幼少の頃に夜市に迷い込んだ主人公は、弟と引き換えに野球の才能を買います。
大人になった主人公はそのことが心に残っており、再度夜市に迷い込むというのがあらすじです。
怖さというより、悲しさや寂しさが特に心に響く作品でした。
同時収録の「風の古道」もとてもいい作品でした。



幽談
/京極夏彦(メディアファクトリー)

妖怪小説家として有名な京極氏による怪談本です。
滅茶苦茶怖いというものは無いですが、じわじわ来ますね。
小説でもそうなんですが、この人の文章って情景を読者に想像させるのが上手いんですよ。
それによって、作品に入りやすくもあるんですが、感情移入しようとすると、京極氏得意の、徐々に微妙な違和感を感じさせるようなザラリとした気味の悪さを味わうことになります。
あまり怖くないなー、と思って読んでいたんですけど、余韻があるというか、何か後を引くんですよね。
この人、怖い話と思って読むと、何故か印象に残る嫌な話だったっていうのが得意なのかも。




=====マンガ=====


不安の種+ (4)
/中山 昌亮(秋田書店)

すごく乱暴にいうと、新耳袋の中の不条理な怖さを持つ怪談をマンガにしたような作品でした。
怖い作品なんだけど、いわゆる幽霊云々ではなく、なんだか分からないものとの接触を集めた短編ですね。
幽霊とは違った、正体不明の存在の恐怖の後味の悪さの表現が巧みに感じました。
これが最終巻とは残念ですね。



もっけ (8)
/熊倉 隆敏(講談社)

妖怪が見える姉妹が主人公のお話で、アニメ化もされましたね。
この作品での妖怪は、鬼太郎的なキャラクターではなく、精霊的な存在だったり、自然現象の具現化だったり、いわゆる元来の意味に近い妖怪です。
妖怪のいる日常生活を描いた作品なので、怖くはないのですが、教訓的な話も多く、考えさせられますね。そういう意味でも、戒めという意味での妖怪に近いのかもしれません。
しかし、ここ最近の巻の静流のエピソードは辛いですね。百瀬はすごく嫌いなキャラです。



屍鬼 (1)(2)
/藤崎 竜, 小野 不由美(集英社)

原作は有名な小説ですが、恥ずかしながら未読です。
藤崎竜氏目当てで買いました。
これ面白いですね。
続きがすごく気になります。
村って閉鎖されたイメージがあり、よくホラーに使われますよね。
恐怖以外に閉塞した空間の不快さってのが、うまく生かされてると感じました。
藤崎流のアレンジもなかなか好印象です。



ルー=ガルー 忌避すべき狼 (3)
/樋口彰彦,京極夏彦(徳間書店)

京極夏彦原作による、近未来の殺人事件を取り扱った作品のコミカライズです。
これはここのカテゴリに分類するのは微妙かな?
原作は大変面白く読んだんですけど、このマンガは絵が可愛い系なせいもあってか、若干緊迫感に欠けるというか。
原作も、回りくどい展開をしますが、マンガではもう少しテンポ良くして欲しかったなあ。
普通の美少女ものとして読まれるのもシャクだし、今後の展開に期待。
ちなみに原作読んでる時は、装丁のせいか荒木飛呂彦か天野喜孝のイメージでした。



魍魎の匣 (2)
/志水 アキ,京極夏彦(角川グループパブリッシング)

昨年実写映画化をし、今度アニメ化もする、京極堂シリーズ第二弾のコミカライズ。
実写映画版は、この話の核である嫌な心理描写をごそっと省略してたんですが、この話では、思いっきり再現してます。
作画が非常に達者で、京極作品に対する理解が深いように感じました。
キャラデザも全く違和感ないですね。
宮迫の木場はピンと来なかったんですが、このマンガの木場はイメージ通り。
不機嫌な面相の京極堂と、浮世離れした榎木津もいい感じでした。
表紙の京極堂は美形すぎる気もするけど。




=====その他=====


怖い話はなぜモテる
/稲川 淳二, 平山 夢明(情報センター出版局)

元祖、怪談の語り部ともいえる稲川氏と、現在の怪談を牽引する作家、平山氏の対談集です。
平山氏にいつもの毒はなく、お互いほめ殺し合戦みたいになってますが、なかなか興味深い話はありました。
有名な都市伝説の赤いちゃんちゃんこが、元は稲川氏が紹介したもので、赤い半纏だったとか、稲川氏の近所の犬が人面犬の正体だった話は、えーって感じでした。
赤いちゃんちゃんこは、出所不明と言われてましたしね。
ただ、怪談の話だけじゃなく、人生における話とかもあって、なかなか読み応えありましたよ。



直撃現代百物語 新耳袋大逆転
/ギンティ小林(洋泉社)

新耳袋で掲載された怪談を検証するという内容の本です。
装丁も似せてあるんですよね。
怖いというより、珍道中といった感じですけど、本気でシャレになってない話もありました。
いわゆる出るところに行けば、本当にやばいことになるんでは?と思わせるリアリティのある話もあったり。
それ以外にも、山の牧場の話の検証などは、じわじわくる不気味さがあって嫌な空気が伝わってきますね。
新耳袋を読んでいた当時のことを思い出しつつ、一気に読了しました。



日本妖怪大百科 VOL.10-DISCOVER妖怪(講談社)

月1で出ていた妖怪百科の最終巻です。
この巻は都市伝説と現代妖怪という、最終巻らしい内容でした。
毎月楽しみにしてましたよ。
荒俣先生や、水木先生の連載や、妖怪関係でお仕事なさってる方のインタビューとか、伝承のある土地の取材とか、充実した内容でした。




=====未読=====


いわくつき日本怪奇物件
/福澤 徹三(角川春樹事務所)


恐怖箱 老鴉瓜
/矢内倫吾,鳥飼誠,渡部正和(竹書房)



数えてみたら、怪談、妖怪系、ホラー、マンガなどあわせて19冊買って、うち2冊まだ未読ですか。
もっと読んでるかと思った。
未読のは今読んでる別な本が読み終わったら取り掛かろうかと。



ぴよこの本棚

|

« 扉の向こうに | トップページ | Game Is On »

」カテゴリの記事

読書・マンガ」カテゴリの記事