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BREAKING THE LAW

今日、些細な出来事がツボってしまい、思い出すたびに吹いてしまうのでした。
なぜ、それを面白く感じてしまうのか説明するのが難しいため、文章に起こしてみました。
しかし、文章に起こしてもどこが面白いのか分からないのであった。
(その文章は追記よりごらんください)

※詳しく書いてしまうと若干まずい気もするので、設定はいじってあります。
実話を元にしたフィクション的な何かです。


 壊されたホッチキス

 キッチンサブローは、とある街で名物の老舗洋食店である。

 その日、店主の二郎は急な仕入れのため店を空けていた。
 この日は日曜。店は忙しいが、二郎が戻るまで店員に任せている。長年勤めてくれているスタッフばかりなので、安心して二郎は安心して店を空けることができた。

 しかしその日、事件は起こっていた。
 夕方、二郎が店に戻ると、女性スタッフの1人が二郎に駆け寄った。
「二郎さん。今日二郎さんのホッチキスを子供のお客様が壊しましたよ」
 その話によると、昼に来店した親子連れの中の子供がホッチキスを叩き、上下に開かなくしたというのだ。
「バンバンって何度も叩いてましたよ」
 スタッフは苦笑しつつ報告した。

 このホッチキスについて少し述べさせていただく。
 色は白、サイズは小さめで、約3~4cmの長さだろうか。二郎の苗字が印刷された名札シールが貼ってあり、レジが所定の場所で、メモやレシートを留めたりするのに重宝されていた。小さいボディの大部分を占有し、自己主張する名札シールがどこかシュールな趣きで、寡黙で朴訥な人柄の持ち主とのギャップに親しみを感じるスタッフは多かった。スタッフの中には、ホッチキスを密かに「二郎さん」の愛称で呼ぶ者もいた。

 そのホッチキスが今日、子供に壊されたというのだ。
 報告を受けた二郎は、いつもの調子で「仕方ない」と言ったが、どこか悲しげにも見えた。
 なぜ、子供がホッチキスを破壊したのか、なぜ執拗に何度も叩いたのか、それはわからない。しかし、「存在感抜群の二郎さんが、なすすべもなく子供に叩き壊されてしまった」という、幻想を打ち砕かれてしまったかのような感情を抱いたスタッフがいたことも確かだ。「二郎さん」と親しまれていたことで忘れかけていたが、それはどこにでもあるホッチキスであったのだ。それを子供によって思い知ることになってしまったのだ。

 子供に叩き壊され、もう開かなくなってしまった「二郎さん」を見て、私は切なさとともに、なぜだか込み上げてくる説明のつかない笑いを止めることができなかった。

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