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Neon Knights

ご無沙汰しております。

先週現在公開中の映画『パシフィック・リム』を観てきました。
今回はその感想をネタバレしない程度に。


公式サイト

まず第一に。
とても面白かったです。
語りたくなる内容でした。
そして思うところもありこうして珍しく筆をとりました。

私がこの作品の存在を知ったきっかけは、確かTwitterで怪獣関係でフォローさせていただいている方のツイートだったかと思います。
公開が近くなるとともにこの映画について口にする方が多くなり、それらを目にするにつけ、こりゃ怪獣特撮好きとしては観ておくべきと決意したのでした。
ただ、ひとつ感じた点。
以前サッカーW杯の際、あるサッカー好きの芸能人が「こんなに多くのサッカーファンが今まで日本のどこに潜んでいたのか」的な発言をしたことがあり、一部で顰蹙を買ったという出来事があったように記憶しますが、今回の私も似たような感覚を覚えたということです。
これに関しては、私がTVをもう何年も見ておらず、世間の話題に鈍感なため、事前にどれぐらい・どのようにメディアで取り上げられていたかをあまり把握していないから余計にそう感じたのかもしれません。

内容についてですが、至極端的に述べるとまず事前情報どおり日本の怪獣特撮・ロボットアニメなどに対する愛情や敬意が強く感じられる作品でした。
敵対者であるモンスターの呼称が「KAIJU」である部分もうれしいです。
反面、普段怪獣映画やロボットアニメに親しんでいる方には想定外の展開はほぼないのではないかと思います。
自分の感じた範囲だと例えば「この場面だと日本の作品ならおそらくこのキャラは退場していただろう」といった意外性が何箇所かあった程度でそれ以外に驚かされる展開はほぼなかったように思います。(ちなみに後になってハムゴジにもこんな場面あったななどと思い出しました)
誤解を恐れずにいえば、物語はバトル場面を盛り上げるための手段としてあえてシンプルに組み立てられているとも感じました。
物語のうえで予想を大きく上回る点はなかったにせよ、とにかく前向きで数分ごと盛り上がれる場面があり、絶望的な場面の後でも希望が用意されているという娯楽映画のお手本のような、素直に楽しめる作品だと思います。
131分の長尺ながら一瞬も飽きさせないのはさすがという他ありません。


そういった面を踏まえ、やはり怪獣好きの自分としては日本の作品と比較して観ている部分が常にありました。
鑑賞中は、この作品のこの場面は日本の作品でいうとなんだろうかと頭のどこかで考えていました。
通してみると、おそらくエヴァンゲリオンが比較対象として最も近しいように思いました。
前述した「前向き」な展開、こう感じたのはエヴァと比較して鑑賞していたからというのもあるのかもしれません。
また、そう感じた他の一因に自分が日本の怪獣特撮の暗い面にも魅力を感じているから余計に比較してしまうという点はあるでしょう。
例えばウルトラマン「故郷は地球」のジャミラ、ウルトラセブン「ノンマルトの使者」のノンマルト、帰ってきたウルトラマン「怪獣使いと少年」のメイツ星人、彼らには何も救いはなかったように思います。
自分の人格形成において強い影響を与えてきたのは、彼らのような救われない敵対者の存在でした。
彼らだけでなく、自分の観てきた怪獣特撮はどこか闇を内包しており、自分はそこにひかれていたのだと思います。(「怪獣」の出発点である初代ゴジラ然り)
『パシフィック・リム』においてはそういった後味の悪さのようなアクはなく、そのような点では日本の怪獣特撮とは別物だと感じます。
KAIJUという存在について考える場合、近しく感じたのはウルトラマンAの超獣ですね。
詳しくは伏せますが、あくまで人類を害する目的の尖兵・兵器であり、孤独な巨大生物といった悲壮感を背負っていない点において近しいように思えました。(本作品中、KAIJUに強いシンパシーを感じていた登場人物はおそらく一人のみでしょう。)
また、超獣ベロクロンやバキシムといった、感情を感じさせない異形の敵対者然とした風貌を先鋭化させたようなデザインからもそう感じました。
とにかくKAIJUの恐ろしさの描き方は見事で、KAIJUの絶望的な存在感があるからこそ主役機の心強さが引き立つのでしょう。
ただデザイン的な面でもうひとつ述べると、私はイェーガーにもKAIJUにもそれほど外見的魅力は感じませんでした。
私が日本の(特に昭和の)怪獣の愛嬌があるところが気に入っているためでもあるかもしれません。
その辺は個人の感性の違いですね。
でも、序盤に主役機と戦ったKAIJUナイフヘッドのインパクトはすさまじく、このKAIJUとの戦闘場面は全体の中でも特に印象的でしたね。
あとはロシアのイェーガー、チェルノ・アルファの無骨な外見と旧世代機という設定は、ガンダムのジオンの残党を彷彿させるためか割と好きだったりします。


以下、蛇足気味ですが。
この映画の公開後、絶賛の声を多く目にしましたが、その中で「日本の怪獣特撮と比較して抜群に優れている」といった旨の意見がたびたびありました。
個人の感性なのでそう述べるのは構わないのですが、そう述べている方の何割が日本の怪獣特撮を語れるぐらい観ているのだろうと疑問に思いました。
こんなまとめがあります。( http://togetter.com/li/553324
これを見た私はこうツイートしました。


これ本人は面白いつもりで言ってるのかもしれないけど、日本の怪獣特撮舐めすぎってのが何人もいてイラッとした。日本の怪獣映画,パシフィックリムどちらも未見で書いてる奴絶対いるだろ

これが日本の怪獣特撮を腐して『パシフィック・リム』を持ち上げている方への私の正直な感想です。
『パシフィック・リム』がいい映画なのは間違いない、でも日本の怪獣映画にだって負けない作品はある。
私はそう思います。
『パシフィック・リム』の映像はとにかく美しい、例えば夜の市街地でガッツンガッツン殴りあう殺陣は非常に見栄えがする、日本の作品が学ぶべき点が多くあることに異論はないです。
しかし、ミニチュアやキグルミ・操演といった日本特撮の伝統芸が必ずしもこういったVFXの下位ではないはず。
『パシフィック・リム』は日本の怪獣特撮の進化形ではなく、その要素を受け継いだ別のベクトルの作品だと私は感じました。
仮にゴジラやガメラが今も新作を発表し続けていて、それらがこの作品のような、いわゆる誰でも楽しめるエンタメ作品になっていたかと考えると、全く違ったものになっていただろうと私は思います。
少なくとも『パシフィック・リム』よりは観る側を選ぶ作品になっていたでしょう。
(日本の怪獣映画のメイン観客層はおそらく子供とマニアが多くを占めているだろうという推測に加えて。)
実際に『パシフィック・リム』が日本の作品には影響を及ぼすとしても、それが今後公開されるかもしれない怪獣映画への集客の導線にはならないでしょうし、復権に寄与するものでない気がします。
今回映画館で多く見かけたカップルを、今後国産怪獣映画が公開されるとして再び見かけることはないと思います。
作品の質を別にして、日本の怪獣特撮は良くも悪くも誰でも楽しめるわけではないところが特徴のひとつだと思いますし。
私が日本の怪獣特撮を好きな点である暗さや後味の悪さも十分敬遠される理由になりうるでしょう。
(もちろん人を選ぶ作品が、誰でも楽しめる作品に劣るとは思っていません。逆も然りです。)
繰り返しますが『パシフィック・リム』は非常に面白い作品です。
私もすごく楽しみました。
でも、そういった意味も含めて悔しさを感じたのは否定できません。


最後になりますが、ラストに本多猪四郎監督の名前が出たのは素直に感動しました。
ハリーハウゼン作品も今後観てみようと思います。
おそらくDVDも購入しますし、続編が公開されたら観にいくでしょう。
内容にほぼ触れず、奥歯に物が挟まったような感想になりましたが、私を嫉妬させ、語らせ、今後散在させるには十分以上の作品でした。
以上です。

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